遺伝カウンセリング
個人の体質に合わせた特別ながん検診・予防的対策を検討できるようになってきています
全ての乳がんの5~10%は、乳がんのかかりやすさに強く関わる特定の遺伝子の変化がある遺伝性の乳がんと考えられています。
遺伝性の乳がんの原因となる最も代表的な遺伝子として、BRCA1・BRCA2という2つの遺伝子が知られています。BRCA1・BRCA2という遺伝子に、乳がんの発症に関わる変化(病的変異)がある場合には、一般よりも、乳がんや他の特定のがんにかかる可能性が高いことがわかっています。
この体質を「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)」といいます。HBOCの体質をもつ女性は、70歳までの乳がんにかかる可能性が45~85%あり、日本人の一般女性(約8%)よりも非常に高いことが知られています。また、卵巣がんにかかる可能性が15~40%と、こちらも日本人の一般女性(約1%)よりも高くなることが知られています。男性の場合にも、乳がんや前立腺がんにかかる可能性が高くなります。
BRCA1・BRCA2の遺伝子検査を行うことで、ご本人が 「HBOC」の体質をもつかどうかを確認することができます。
検査の結果、「HBOC」と診断された場合には、その体質に合った対策(発症リスクの高いがんを早期に発見するような検診方法(乳房MRIなど)や、選択肢としてがん発症のリスクを下げる予防的切除術)を考えていくことができます。
また、ご本人だけでなく、ご家族(血縁者)が同じ体質をもつかどうかを調べ、対策を考えることもできます。
以下の質問にひとつでも該当する項目があれば、あなたが「HBOC」である可能性は一般よりも高いと考えられます。当クリニックでは、可能性が一般よりも高い方に「遺伝カウンセリング」の受診をお勧めしています。「遺伝カウンセリング」は、乳がんの経験がある方も、ない方も、どなたでも受診していただくことができます。
あなた自身を含めたご家族の中に該当する方がいらっしゃる場合に、チェックを入れてください。
□ 40歳未満で乳がんを発症した方がいますか?
□ 年齢を問わず、卵巣がん(卵管がん、腹膜がん含む)の方がいらっしゃいますか?
□ ご家族の中でおひとりの方が時期を問わず原発乳がんを2個以上発症したことがありますか?
□ 男性の方で乳がんを発症された方がいらっしゃいますか?
□ ご家族の中でご本人を含め乳がんを発症された方が3名以上いらっしゃいますか?
□ トリプルネガティブの乳がんといわれた方がいらっしゃいますか?
□ ご家族の中にBRCAの遺伝子変異が確認された方がいらっしゃいますか?
(日本HBOCコンソーシアムHPより)
遺伝カウンセリングでは、ご本人、ご家族の健康状態についてお話を伺い、ひとりひとりの家系図を作成しながら「HBOC」の可能性について評価を行います。そして、遺伝医学的情報の提供を行いながら、遺伝子検査を受けるかどうかをご相談していきます。
遺伝子検査に対する考え方は、年齢や立場、考え方や価値観によって、それぞれに異なります。遺伝子検査のメリット・デメリットについて確認をしながら、ご本人にとって最善の道を一緒に考えます。
遺伝子検査に対する考え方は、年齢や立場、考え方や価値観によって、それぞれに異なります。遺伝子検査のメリット・デメリットについて確認をしながら、ご本人にとって最善の道を一緒に考えます。